日本生物地理学会創設者 蜂須賀正氏について

「破格、破天荒のスーパー日本人」蜂須賀侯爵

会長 森中 定治


 蜂須賀正氏(はちすか まさうじ) 日本生物地理学会創設者の一人. 1903(明治36年)〜1953(昭和28年).

蜂須賀正氏(山階鳥類研究所所蔵写真) 18kb
ダバオ日本人協会編集室にて

 阿波蜂須賀第18代当主として生を受ける.小さい頃より,生き物が好きで生物学に強い関心を もつ.1920年,ケンブリッジ大学〔英〕留学時代に博物学の大家であるロスチャイルド卿と懇意 となり,様々な生物を求めてアイスランド,モロッコ,アルジェリア,エジプト,コンゴなどに 探検行を実施.日本人として初めて野生ゴリラを観察.1928年,渡瀬庄三郎と共に,日本生物地 理学会を創設.1934年,米国,英国に遊学.絶滅の鳥ドードーに関する論文に着手.1953年,日 本生物地理学会第二代会頭,狭心症にて死去.

 蜂須賀正氏には様々のエピソードが伝えられる.モダン侯爵としてもてはやされたこともあっ たが,型破りの人間として社会から強い指弾を浴びた.彼のエピソードは論考(筑波,2003)に 詳しいが,人間社会に対して主張すべきを主張し,その行為を通して人間を成長に導く一つのツ ールを示したと考える(森中,2003).2003年度に開催した「蜂須賀正氏生誕百年記念シンポジ ウム」のまとめ「蜂須賀正氏生誕百年に寄せて」を日本生物地理学会会報第58巻に掲載した.

 また,黒川清氏(日本学術会議会長)が,氏のホームページDoctorinaのコラムに蜂須賀正氏に ついて掲載している.

昭和24年 日本生物地理学会年次大会(中村司博士所蔵写真)
昭和24年 日本生物地理学会年次大会 記念写真
前列左三人目から蜂須賀正氏、黒田長禮博士、山階芳麿博士、岡田弥一郎博士
後列右側柱の前、黒田長久博士(左)、中村司博士(右)


筑波常治,2003.国際的業績と非常識の間.日本生物地理学会,58:105-107.
森中定治,2003.蜂須賀正氏生誕百年記念シンポジウムを終えて.日本生物地理学会,58:115-119.

(参考)
青木澄夫,2002.日本人のアフリカ「発見」.山川出版社,東京.
荒俣宏,1996.大東亜科學綺譚.ちくま文庫,東京.
産経新聞「日本人の足跡」取材班(編),2002.日本人の足跡3−世紀を超えた「絆」を求めて− 産経新聞ニュースサービス,扶桑社,東京.
日本生物地理学会,2003.蜂須賀正氏生誕百年に寄せて,58:95-119.

※黒川清氏(日本学術会議会長)らのHP, Doctorina コラムは現在リンクが切れています(01 Aug 2011).